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いわゆる五十肩
江戸時代に発行された書物の中に「凡、人五十歳ばかりの時、手腕、関節痛むことあり、程過ぎれば薬せずして癒ゆるものなり、俗にこれを五十腕とも五十肩ともいう、または長命病という」という文章があります。これが五十肩に関して最も古い記載で、この辺りから五十肩という言葉は生まれたようです。
当時の平均寿命は50歳以下で、五十肩を発症するのは長生きの証拠とされ「長い人生のうちには肩が痛くなることもある。そのうち治るだろう」と考えられていたようです。ちなみに五十肩にあたる言葉は海外にはなく日本独自の病名であり、正しくは『肩関節周囲炎』と呼ばれます。
現代は50歳代とは限らず、各年代でいわゆる五十肩の症状が見られています。明らかな原因は不明ですが、加齢により肩関節の周りの組織が変性し肩に過度な負担がかかったり、パソコンやスマートフォンの長時間の操作による姿勢不良(猫背)の持続等により症状が出やすいと言われています。
症状は、衣服の着脱・洗濯物を干すとき等に痛みを感じる運動時痛、夜になるとズキズキと肩が痛んで眠れないほどになる夜間痛、何もしなくて椅子に座ってじっとしている時でも感じる安静時痛と、日常生活の様々な場面で痛みが生じ、支障を来たしてしまいます。
時期を過ぎればそのうち治りますが、治る時期は数ヶ月から数年と個人差があります。対処が異なると痛みが悪化し関節が硬くなって動く範囲が狭くなってしまい、治るまでに時間がかかってしまいます。
肩の適度なストレッチや長時間同一姿勢で作業を行わないことで予防できます。しかし、症状が見られたら、我慢をせずに早めに受診し適切な治療・リハビリを受けられることをお勧めします。
【執筆者】
リハビリテーション科 主任 竹中 由香